予防医学ってなんだろう

予防医学(preventive medicine)とは、疾病の発生・経過・分布・消長(影響)と、その原因や関連性を 研究し、疾病の予防や、病気になりにくい心身の形成、健康増進・アンチエイジングを図る知識の集成であると言えます。シンプルに表現すれば「病気を未然に防ぎ、健康な心身を維持する。」ための学問ということになるでしょう。技術の進歩・発達の著しい人間ドックや健康診断も、「早期発見・早期治療」を目的とした予防医学にあたります。治療医学とは異なり、保険の適用にならないため、まだまだ普及・浸透していないという現状もあります。

予防医学で得られること

お近くに、こんなことを言う方が多くありませんか。「健康のことは、病気になってから考える。好きなタバコやお酒を我慢するのは嫌だし、病気なんか心配して、値段の高い食材や、無添加・薄味の調味料を使うなんてお金の無駄遣いだ。仕事で疲れているから、運動するよりテレビを見て休んでいたい。」いざ病気を患い、時間を削って病院へ行き、心身の不調に苦しみ、治療費と薬代の出費をすることは、より無駄遣いだと思いませんか。予防医学マインドを身に付けると、ものの見方や考え方も変わりますので、できることから少しずつ、無理なく楽しく取り組めるようになるでしょう。健康水準の維持・向上において同じ効果を生むための取り組みにかかる費用は、小さいほど効率的な取り組みということになりますが、一般に治療よりも予防の方が効率的です。さらに予防では病苦を経験しない(させない)で済むという、お金には換算しがたい効果が得られます。

1次予防から3次予防。そして0次予防まで。

予防医学のステージ(段階)は、「1次予防とは、疾病の予防。健康啓発、健康増進、特殊予防(教育、予防接種)など。」「2次予防とは、重症化の防止。疾病の早期発見(人間ドック・健康診断)と早期治療など。」「3次予防とは、疾病の再発防止。リハビリテーションなど。」に分類されます。治療はすでに疾病である状態に対応して、進行や重症化を防ぎ、治癒を目的とした介入・援助です。リハビリテーションは、疾病による障害を軽減し、残存機能や代替機能の維持・向上を図り、できるだけ元の生活に近い状態に戻すことを目的とした介入・援助です。重症化防止や残存機能の退縮防止という意味で、2次予防・3次予防と呼ばれますが、発病後の対応であるのに対し、予防は疾病の状態になることを未然に防止する介入です。成人病予防対策で強調される早期発見・早期治療の取り組みと接してはいますが、やはり発病後の対応(2次予防)です。「予防」は、感染症対策の予防接種や、人間ドック・健康診断のように、特定の疾病や異常の発生を未然に防止することを目的とする特異的予防あるいは発病予防(specific protection)と、栄養・食生活の改善や、運動・休養・生活リズムの確保、禁煙など健康的な生活習慣の確立に重点を置いた健康増進や健康づくり(health promotion)に分けられます。さらに、心身に直接働きかける取り組みとともに、上下水道の整備から、過密などの居住条件の改善、貧困や失業の防止、快適な職場の実現など、環境づくりの重要性も「0次予防」と呼ばれ、近年あらためて強調されるようになってきました。「経済の健康」という概念も、心身に結びついている重要な要素(factor)として取り上げるべきテーマです。